機器のインパルス耐電圧と過電圧カテゴリ
JIS C 60364-4-44では、電源系統におけるインパルス耐電圧を下表のように定めています。
過電圧カテゴリはⅠ~Ⅳのカテゴリに分類され、各設置場所に設置される機器は下表に定める必要なインパルス耐電圧より小さくならないように選定する必要があります。
必要なインパルス耐電圧
設備の公称電圧 | 設備の源点の危機 過電圧カテゴリⅣ |
幹線及び分岐回路の機器 過電圧カテゴりⅢ |
設備の源点の危機 過電圧カテゴリⅡ |
設備の源点の危機 過電圧カテゴリⅠ |
電灯系 単三120-240V |
4000V | 2500V | 1500V | 800V |
動力系 三相230/400V |
6000V | 4000V | 2500V | 1500V |
図に示すように各フロアの分電盤は耐インパルスカテゴリⅢ、電気機器の入力部はカテゴリⅡに該当するため、カテゴリⅢの分電盤に取り付けるSPDの電圧防護レベルは、カテゴリⅡのインパルス耐電圧以下とする必要があり、電灯系で1500V以下、動力系で2500V以下とする必要があります。
直撃雷と誘導雷の電流波形の違い
JISにおいては直撃雷の電流波形を10/350μs(代表波形)、誘導雷の電流波形を8/20μsと規定しています。
直撃雷波形の方が継続時間が長いため、誘導雷波形とのエネルギー(電荷量)の違いは、電流ピーク値を同じ値とした場合、約25倍以上のエネルギーとなります。
雷保護ゾーン/過電圧カテゴリ別によるSPDの設置
電気機器の雷対策は、雷サージを電気機器に侵入させないことが重要です。
対策方法として、絶縁化・磁気遮へいが行われることがありますが、SPD(避雷器)による等電位化が広く一般的に実施されています。
雷保護ゾーン又は過電圧カテゴリの境界ごとにSPDを設置します。
〇雷保護ゾーン別で見た場合、LPZ1は直撃雷の分流の一部が流入する可能性があります。
そのため、LPZ0とLPZ1の境界にはクラスⅠ又はカテゴリD1の直撃雷用SPDを設置します。
LPZ2~LPZ4における雷サージの影響はLPZ1にくらべ減衰するため、LPZ1とLPZ2の境界又はLPZ2とLPZ3の境界はクラスⅡ・Ⅲ又はカテゴリC2の誘導雷用SPDを設置します。
〇過電圧カテゴリ別で見た場合、各フロアの分電盤は過電圧カテゴリⅢ、電気機器の入力部はカテゴリⅡに該当するため、カテゴリⅢに取り付けるSPDの電圧防護レベルはカテゴリⅡの耐電圧以下にする必要があります。